平成19年4月28日土曜日

ゴジラの木

ある日、車を走らせている時、窓の外を眺める長男がつぶやいた。
「パパ、あれ、ゴジラの木だよね?」
わたしは、一瞬何の事かわからなかった。
(ゴジラの木?)
でも、記憶がフラッシュバックし、すぐに思い出した。
それは・・・・ちょっと昔。
長男がまだ小さかった頃、次男は赤ん坊で、三男はいなかった頃。
ある日、長男は車の中で泣き叫んでいた。
次男が生まれ幼児返りした頃だったろうか。
長男は、わけもなくただただ泣いていた。
理由がわからないから、途方に暮れた。
でも狭い車の中で、泣き続けられるのには困った。
その泣きじゃくる長男をなだめるために、とっさに、フロントガラス越しに映る、ある小高い丘にそびえ立つ一本の木をみて、私はこう叫んだ。
「あ!あそこにゴジラの木があるよ!」
その頃、テレビで放映されたゴジラの映画を見たばかりの長男は、興味を示した。
ハッと泣きやみ、
「どこどこ?」
と私に反応した。
「あの山を見てごらん。ゴジラのような木があるよ。」
と教えてあげた。
そして、それを見て納得したのか、
「あれは、ゴジラの木だね!」
とやっと笑ってくれた。
・・・そんなセピア色の記憶が蘇った。
回想にふける私に
「パパ?ゴジラの木ってなあに?」
と次男が聞いてきた。
「それはね、パパとお兄ちゃんだけの秘密だよ。」
と、私ははぐらかした。
「えぇー、ずるいなぁ。」
と次男がすねた。
長男は、そのやり取りを気にすることなく窓の外を眺めていた。
彼の頭の中では、何を考えているのだろうか?
すべての状況を知る妻は「フフフ」とほくそ笑んでいる。
運転しながら、ふと思った。
その頃、長男は私にべったりだった。スキンシップを十分に図れていたと思う。しかしながら、最近はそういう接し方はしてないと感じている。
でも、「ゴジラの木」を久々見て思いだしたおかげで、私は、その二人だけの秘密が接着剤となって、まだかろうじて絆がつながってるような、ぼんやりとした安心感を覚えた。
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