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平成20年7月18日金曜日

『観察眼』と『描写力』

最近、版画家『名嘉睦稔』の木版画展「命の森」プロジェクトを支援している私ですが、何でこんなに作品に惹かれるようになったのでしょうか?

その一つに、睦稔さん自身の『観察眼』にあります。

通常、写真をそのまま作品にするのならば、見たままに描き写せばいいでしょう。ですが、睦稔さんのように頭に浮かんだインスピレーションをそのまま作品にする版画の場合は、想像の世界なわけで、作ろうと思えばいくらでも意図的に作れてしまうはずです。睦稔さんの作品は、そんな空想の世界ではありますが、実は良く観察された現実味のある世界であり、そこらが凡人とは違うようです。

版画はもともと印象的なものであるように思えます。裏手彩色の技法によって作品自体は色とりどりにはなっていますが、もともとの輪郭が黒と白の世界、つまりモノトーンベースなので、作者の意図が、ダイレクトにインパクトをもって、先に感じるからでしょう。

しかし、睦稔さんの版画は、ちょっと違います。作品を眺めて見ますと、「色調」「チンダル現象」「波のゆらぎ」「魚」「サンゴ」「生物」「昆虫」「動物」「植物」すべてにおいて、実はまったく写実的なのであります。もちろん、写実的とはいっても、形や色のグラデーションなどは、さすがに油絵などの写実派には勝てません。でも、「東山魁夷」ばりに、大胆かつ鮮やかで、なお緻密な世界が、版画の作品の中に収められているのが見えてくるからすごいのです。時には、雨や風や匂いまで感じさせてくれる作品もあります。

例えば
『上潮』


これは、海上で見た光景が作品に閉じ込められています。その空間の切り撮り方もカメラマンも真っ青の素晴らしいアングルです。また、良く見ますと、海の中にいる魚たちも何の魚か種類がわかりますし、それらは、そこにいるべきものしかいないからびっくりです。(生物学の権威のかわむつさんも絶賛)
そして、我々がその場に居て、その風景見ているかのように、楽しませてくれます。

『珊瑚の通り』


ボクネンズアート東京で実物をみましたが、これはもう、圧巻!海のかで見られる「ゆらぎ」までもが、作品に閉じ込められています。ダイビングなどしない私でも、海に潜ったような感覚を味わえます。

『星の叢花』


青の夜空が綺麗なこの作品、これは畳4畳分の大きさがあります。その巨大な空間にちりばめられた星々は、北極星、北斗七星などが、見たままにかつ意図を持って、描写されています。そのおかげで、降ってくるような満天の星空がいつでも見ることができるのです。

ここで忘れてならないのは、睦稔さんの版画のスタイル。
一気呵成に彫る姿は、まさに阿修羅のよう。動画を見ればわかりますが、細かいところまで気にしていたらとても彫れません。なのに、それらはあるべきところに然るべく、しかも版画ですから左右反転させて、彫り込まれています。よくボクネンズアート東京のスタッフの皆さんと話しますが、まさにミラーマンです。すごすぎです。



睦稔さんは、その自身の鋭い観察眼を作品の中に表現することができるわけです。それは、なんとすばらしい『描写力』なんでしょう!

ただ、このすごさは、実物を見てみないとわかりません。
なぜなら、書籍やパソコンじゃスケール感まで出せないからです。
今回の「命の森」展覧会は、小さいのはもとより、大きく感じる通常の作品もが小さく見えてしまう、4畳クラス、そして最大12畳クラスの作品までが置かれています。

実物ではないと味わえないスケール感と色彩のマジック
ぜひ、めずらしく実物が数多く集うこのチャンスに見ていただきたいと思います。

.。.:*・゚☆.。.:*・゚★.。.:* ☆.。.:*.。.

【名嘉睦稔木版画展 ~命の森~】

会 期:展覧会は二部構成になっています。
    第一部/陸の森 7月12日(土)~8月17日(日)
    第二部/海の森 8月23日(土)~9月28日(日)
    9:00~17:30 (入館は閉館の30分前まで)

会 場:明治神宮文化館 宝物展示室

主 催:名嘉睦稔展実行委員会
後 援:毎日新聞社 龍村仁事務所
協 力:明治神宮 環境省
協 賛:株式会社 久米島の久米仙

    一般800円、団体(20名以上)大学生
    高校生500円・中学生以下無料

4 件のコメント:

ひでお さんのコメント...

zabunさんの観察眼も大したものですね。
素晴らしい。

Zabun さんのコメント...

>ひでおさん
アルバム作成やらギャラリートークやら、怒涛の忙しさでしたね。ほんと、お疲れ様です。

まだ二か月ありますが、どんなドラマが生まれるのか、私たちファンはとても楽しみですよ。

さっそく、みんなの提案でかわむつさんのイベントがあったりとドキドキワクワクです!

広告ばかりでなく、ぜひ私も子供達も12畳の作品に圧倒されてみたいと思います。

そんときはよろしくお願いしまーす(^^)/

米盛つぐみ さんのコメント...

ほんと、zabunさんの観察眼も深いなぁ。
会場でお会いできるのが楽しみです!
いよいよ夏休みも始まりましたもんね♪

Zabun さんのコメント...

>つぐみさん
TINGARAのお二人から褒められると照れますな(^^;

トークギャラリーになかなか行けませんが、地の果てより(?)大声で応援してますよん。
子どもと嫁さんは、「東京に行く唄」なるテーマソングを歌ってもりあがっておりまする。